会社を作る手続きは、会社の形を選んで定款を作り、設立登記を申請する流れです。設立登記は、会社が成立するための登記です。株式会社と合同会社では、定款について公証人の認証が必要かどうかが異なります。登記が終わった後にも、税務、社会保険・労働保険、事業の許認可を確かめる場面があります。
この記事は、これから事業を始める方や、個人事業から法人化を考える方に向けた会社設立の地図です。会社設立の流れと合同会社の設立手続き、誰に相談できるかを整理します。会社の内容や必要な手続きは、事業の種類、所在地、雇用の有無などで変わります。
会社を作るときに関係すること
会社を作ることと、事業を始めるための手続きは、同じではありません。設立登記のほか、事業内容によっては許可や届出を確かめます。人を雇う予定があれば、社会保険や労働保険の手続きも関係します。
| 場面 | 確かめること | 主な窓口 |
|---|---|---|
| 会社の準備 | 会社の種類、商号(会社の名前)、目的(行う事業)、本店(会社の住所)、出資、役員など | 専門家、法務局 |
| 会社の設立 | 定款の作成、定款認証の要否、設立登記 | 公証人、法務局 |
| 事業の開始 | 営業に許可・届出が必要か | 所管する国・都道府県・市区町村の窓口 |
| 人を雇う | 社会保険・労働保険の適用と届出 | 年金事務所、労働基準監督署、ハローワーク |
会社・法人は、必要な設立行為をした後、設立の登記をすることによって成立します。登記の申請先や申請に添える書類は、会社の本店所在地を担当する登記所に確認できます。
株式会社と合同会社で異なる定款認証
定款は、会社の基本的な決まりを書いた書類です。会社の目的、商号、本店の所在地、出資や役員に関する事項などを、会社の形に応じて定めます。
株式会社の設立時の定款について、会社法第30条第1項は次のように定めています。
「第二十六条第一項の定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じない。」
株式会社では、定款を作った後に公証人の認証を受けます。法務省は、定款認証を行う公証人について、本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人と案内しています。
合同会社については、法務省の案内に次の記載があります。
「なお、合同会社の定款については、公証人の認証を受ける必要はありません。」
合同会社でも定款の作成と設立登記は必要です。定款認証が不要であることは、定款の内容や登記に必要な事項を確認しなくてよい、という意味ではありません。
会社設立の大まかな流れ
- 会社の基本事項を決める
株式会社か合同会社かを選び、商号、目的、本店所在地、出資する人と金額、役員や代表者、事業年度(会計の区切り)などを整理します。許認可が関係しそうな事業では、必要な要件や事業所の条件も早めに担当窓口で確認します。
- 定款を作る
決めた内容をもとに、会社の形に合った定款を作成します。株式会社は公証人の認証を受けます。合同会社は公証人の認証を受ける必要はありません。
- 出資の手続きと登記書類を準備する
定款や会社の形に応じて、出資するお金などの手続きと登記に必要な書類を準備します。申請に添える書類は、登記する事項によって異なります。必要な書類は、本店所在地を担当する登記所の案内で確かめます。
- 設立登記を申請する
本店所在地を管轄する登記所に設立登記を申請します。商業・法人登記は、書面またはオンラインで申請できる場合があります。登記の方法や必要書類は、法務局の案内で確認します。
- 設立後の届出と事業開始の手続きをする
税務署、都道府県・市区町村の税の窓口、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどで必要な手続きを確認します。営業の許可・届出が必要な業種では、所管窓口で別途手続きします。
登記後に確認する届出
設立後に必要となる届出は、会社の所在地、税務上の選択、役員報酬や従業員の状況、事業の種類で変わります。主な確認先を分けて考えると整理しやすくなります。
| 分野 | 主な確認先 | 確認すること |
|---|---|---|
| 国税 | 所轄税務署 | 法人設立届出書、源泉所得税・消費税などの届出 |
| 地方税 | 都道府県・市区町村の税の窓口 | 法人設立に関する届出の要否、期限、添付書類 |
| 社会保険 | 年金事務所 | 健康保険・厚生年金保険の適用と届出 |
| 労働保険 | 労働基準監督署、ハローワーク | 労災保険・雇用保険の適用と届出 |
国内に本店または主たる事務所を置く普通法人などを設立した場合、国税庁は「法人設立届出書」を、設立の日(設立登記の日)以後2か月以内に、定款などの写しを添付して所轄税務署長へ提出する案内を示しています。源泉所得税、消費税、青色申告などの届出は、必要に応じて別に確認します。
健康保険・厚生年金保険では、常時従業員を使用する法人事業所などは加入が法律で義務づけられています。日本年金機構は、新規適用届を事実発生から5日以内に提出する案内を示しています。無報酬の役員しかいない場合など、適用の扱いは状況により異なります。
労働者を使用する事業では、労働保険の手続きが関係します。労働保険の保険関係が成立した事業の事業主は、成立した日から10日以内に届け出なければならないと定められています。雇用保険は、対象となる労働者を初めて雇い入れる場合などに、ハローワークへの手続きも確認します。
地方税の法人設立に関する届出は、提出先、期限、添付書類が都道府県や市区町村で異なります。会社の本店所在地の窓口で確かめてください。
事業によっては許認可も必要です
会社を設立した後に、行う事業ごとの許可・届出などが必要になることがあります。たとえば、飲食店営業を行おうとする場合は、食品衛生法第55条第1項に基づく許可が関係します。古物営業では、営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を確かめます。
必要な手続き、窓口、施設や人員に関する条件は、業種と地域で異なります。事業の内容と事業所の予定地が決まった段階で、担当する役所の窓口に確認することが大切です。許認可が必要な事業の全体像は、行政書士に相談できる手続きや建設業の手続きも参考にしてください。
相談の前に決めておくこと
専門家や役所に相談するときは、決まっていることと、まだ決めていないことを分けて伝えると、確認する手続きの見当がつきます。
- 株式会社または合同会社のどちらを考えているか
- 商号、本店所在地、事業の目的、事業を始めたい時期
- 出資する人、出資額、役員や代表者の予定
- 行うサービスや販売する物、事業所・店舗・営業所の予定地
- 従業員を雇う予定と、給与を支払う予定
- 会計の方法、事業年度、税務について相談したいこと
- 許認可、契約、資金調達、既存の取引先との関係で気になっていること
事業内容や予定地が未定の部分は、未定のまま相談して構いません。許可や届出の要否は、想定している事業内容を具体的にして所管窓口で確認します。
会社設立は誰に頼むか
相談内容に応じて、専門家と役所の窓口を使い分けます。登記、税、社会保険・労働保険、争いや交渉は、それぞれの専門家への相談が必要です。
| 相談したいこと | 相談先 | 主な相談内容 |
|---|---|---|
| 定款・許認可 | 行政書士 | 定款の作成に関する相談、許認可の申請書類・提出手続 |
| 設立登記 | 司法書士 | 登記の申請や登記書類 |
| 税・税務署への届出 | 税理士 | 税務の相談、税務書類、税務署への届出 |
| 社会保険・労働保険 | 社会保険労務士 | 社会保険・労働保険の届出 |
行政書士については、日本行政書士会連合会の行政書士会員検索で全国の会員・法人会員を探せます。同連合会は、都道府県行政書士会を通じた相談窓口も案内しています。登記は司法書士、税務は税理士、社会保険・労働保険は社会保険労務士に相談します。契約をめぐる争い、相手方との交渉、訴訟などは弁護士に相談してください。
まとめ
- 会社設立は、基本事項を決め、定款を作り、設立登記を申請する流れです。
- 株式会社の定款は公証人の認証が必要で、合同会社の定款は認証を受ける必要がありません。
- 登記後には税務、社会保険・労働保険、業種ごとの許認可を確認します。相談内容に合う専門家と役所の窓口を選びます。
この記事について
公開日:2026年10月25日
確かめた日:2026-10-24
出典:
- 会社法(e-Gov法令検索)(2026-10-24確認)
- 合同会社の設立手続について(法務省)(2026-10-24確認)
- 商業・法人登記申請手続(法務局)(2026-10-24確認)
- 新設法人の届出書類(国税庁)(2026-10-24確認)
- 新規適用の手続き(日本年金機構)(2026-10-24確認)
- 健康保険・厚生年金保険 新規加入に必要な書類一覧(日本年金機構)(2026-10-24確認)
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(厚生労働省)(2026-10-24確認)
- 手続き一覧表(厚生労働省)(2026-10-24確認)
- 食品衛生法(厚生労働省)(2026-10-24確認)
- 古物営業の許可制度について(警察庁)(2026-10-24確認)
- こんなときにご相談を(日本行政書士会連合会)(2026-10-24確認)
- 司法書士法(e-Gov法令検索)(2026-10-24確認)
- 税理士法(e-Gov法令検索)(2026-10-24確認)
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索)(2026-10-24確認)
- 弁護士法(e-Gov法令検索)(2026-10-24確認)