他人の荷物を対価を得て運ぶ仕事を始めるときは、使う車両や事業の内容によって、一般貨物自動車運送事業の許可か、貨物軽自動車運送事業の届出かを確かめます。手続きと安全管理の仕組みは同じではありません。
この記事では、一般貨物と軽貨物の違い、黒ナンバー、2025年4月からの軽貨物の安全対策を整理します。申請書、審査基準、受付方法は、管轄の最新案内で確認してください。
まず、一般貨物か軽貨物かを確認する
貨物自動車運送事業法は、他人の需要に応じて有償で貨物を運ぶ事業を、車両により区分しています。一般貨物は、三輪以上の軽自動車と二輪の自動車を除く自動車を使う事業です。貨物軽自動車運送事業は、三輪以上の軽自動車または二輪の自動車を使う事業です。貨物自動車運送事業法
| 区分 | 主に使う車両 | 始める前の手続き | 主な確認先 |
|---|---|---|---|
| 一般貨物 | 軽自動車・二輪以外の事業用自動車 | 国土交通大臣の許可 | 管轄の運輸局・運輸支局 |
| 軽貨物 | 三輪以上の軽自動車または二輪の自動車 | あらかじめ経営届出 | 営業所を管轄する運輸支局 |
一般貨物は、国土交通大臣の許可が必要です。許可の権限は運輸局長に委任され、申請書は営業所を置く都道府県の運輸支局に提出すると案内されています。中国運輸局「トラック事業を始めるには」
軽貨物は許可ではなく届出です。法令上、経営届出書には開始予定日、営業所、車両の種別と数、車庫、休憩・睡眠施設、運送約款などを記載します。貨物自動車運送事業法施行規則第33条
荷物を運ぶ相手、対価、車両、営業所と車庫の計画を整理し、管轄窓口に確認しましょう。
一般貨物自動車運送事業は、許可基準と申請書類を確認する
一般貨物の申請書には、営業所、事業用自動車、車庫、休憩・睡眠施設などを含む事業計画を記載します。添付書類には、運行管理・点検整備の体制、事業開始に必要な資金と調達方法、施設の概要があります。貨物自動車運送事業法第4条 貨物自動車運送事業法施行規則第2条・第3条
許可の基準には、過労運転の防止など輸送の安全、車両数・車庫の規模など継続して事業を行うための計画、経済的基礎と能力が含まれます。貨物自動車運送事業法第6条
車両数、車庫、施設、資金、管理体制の具体的な審査基準は、地方運輸局の公示や手引で確認します。たとえば中国運輸局の公示には、営業所ごとの最低車両台数を5両以上とする基準と例外があります。ほかの地域で始める場合も、管轄窓口の案内を確認してください。中国運輸局の公示
関東運輸局は、一般貨物の許可時には登録免許税12万円を納付すると案内しています。納付の時期や方法は申請先に確認してください。関東運輸局「お問い合わせ一覧」
軽貨物は届出と黒ナンバーの手続きを分けて考える
軽貨物では、経営届出後に車両の事業用ナンバープレートを受ける手続きがあります。一般に黒ナンバーと呼ばれるものです。軽乗用車を使う場合も、管轄運輸支局への経営届出後に、軽自動車検査協会で黒ナンバーの発行を受ける必要があると国土交通省は案内しています。国土交通省「貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について」
様式、車検証などの書類、連絡書、軽自動車検査協会での手続きは、所在地の案内を開始前に確認しましょう。
2025年4月から、軽貨物の安全対策が強化されている
四輪以上の軽自動車を使う貨物軽自動車運送事業者は、営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を1人選任し、選任・解任の際は遅滞なく届け出る仕組みです。選任する人は、原則として選任日前2年以内に貨物軽自動車安全管理者講習を修了した人など、法令が定める要件に当てはまる必要があります。貨物自動車運送事業法第36条の2
2025年4月以降に経営届出をする事業者は、届出後、事業を始める前までに速やかに安全管理者を選任する必要があると国土交通省は案内しています。講習の受講、選任届の提出先、届出様式も、開始予定日に間に合うかを早めに確認します。国土交通省「令和6年法令改正に伴う安全対策」
安全対策の案内には、初任運転者などへの指導と適性診断、業務・事故の記録、重大な事故の報告も示されています。対象や保存期間は、国土交通省の制度案内で確認してください。
事業を始める前に確かめること
| 確かめること | 一般貨物 | 軽貨物 | 主な確認先 |
|---|---|---|---|
| 事業の内容 | 有償で運ぶ貨物、荷主、運送の形 | 有償で運ぶ貨物、荷主、運送の形 | 運輸支局 |
| 車両の計画 | 車両数、車種、配置する営業所 | 軽自動車・二輪の別、車両数、黒ナンバーの手続き | 運輸支局・軽自動車検査協会 |
| 施設の計画 | 営業所、車庫、休憩・睡眠施設 | 営業所、車庫、休憩・睡眠施設 | 運輸支局・自治体の関係窓口 |
| 管理の体制 | 運行管理、点検・整備、資金計画 | 安全管理者、講習、運転者への安全対策 | 運輸支局・講習機関 |
| 開始の時期 | 許可申請、許可後の開始前手続き | 事前届出、安全管理者の選任・届出、車両手続き | 運輸支局 |
一般貨物は許可後の開始前手続きも、軽貨物は届出、黒ナンバー、安全管理者の手続きも確認します。車両や施設の契約、採用を先に進める前に、窓口へ計画を伝えましょう。
手続きの大まかな流れ
- 誰の荷物を、どの対価で、どの車両により運ぶかを整理します。
- 営業所の所在地を管轄する運輸支局に、一般貨物の許可か軽貨物の届出かを確認します。
- 営業所、車庫、車両、休憩・睡眠施設、管理体制、資金計画を準備します。
- 一般貨物は許可申請を行います。軽貨物は開始前に経営届出を行い、車両の黒ナンバー手続きを進めます。
- 軽貨物で四輪以上の軽自動車を使う場合は、安全管理者の講習、選任、届出を開始前に確認します。
- 許可・届出後に必要となる開始前の手続き、車両登録、運行管理の準備を、管轄窓口の案内で確認してから運行を始めます。
どこに相談するか
許可・届出の区分、申請書の様式、必要書類、受付方法、車両の登録手続きは、営業所を管轄する運輸支局に確認します。地域ごとの公示や手引があるため、インターネット上の古い様式だけで準備を進めないようにしましょう。
申請書類の準備や提出手続については、行政書士に相談できます。日本行政書士会連合会の行政書士会員検索では、「運送・自動車」を取扱い業務として検索できます。各都道府県の行政書士会を通じた相談窓口は、日本行政書士会連合会の相談案内で確認できます。
周辺の手続きは、内容に応じて相談先が異なります。会社設立や役員変更などの登記は司法書士、税の相談は税理士、労働・社会保険の手続きは社会保険労務士、相手方との争い・交渉は弁護士に相談します。
まとめ
- 一般貨物は許可、軽貨物は事前の経営届出です。使う車両と運送の内容から区分を確認します。
- 一般貨物は施設、車両、管理体制、資金計画などを含めて許可基準を確認します。具体的な基準は管轄運輸局の案内で確かめます。
- 軽貨物では、黒ナンバーの車両手続きに加え、2025年4月からの安全管理者の選任・届出などを開始前に確認します。
許認可を含む行政手続の相談先を広く整理したいときは、行政手続の相談先と専門家の役割も参考にしてください。会社設立から検討する場合は、会社設立の手続きもあわせて確認できます。
この記事について
公開日:2026年10月25日
確かめた日:2026年10月24日
出典:
- e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」第2条・第3条・第4条・第6条・第36条・第36条の2(2026年10月24日確認)
- e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法施行規則」第2条・第3条・第33条(2026年10月24日確認)
- 中国運輸局「トラック事業を始めるには」(2026年10月24日確認)
- 中国運輸局「一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業に係る許可申請事案の処理方針について」(2026年10月24日確認)
- 関東運輸局「お問い合わせ一覧(一般貨物自動車運送事業の経営許可申請等)」(2026年10月24日確認)
- 国土交通省「貨物軽自動車運送事業における安全対策を強化するための制度改正について」(2026年10月24日確認)
- 国土交通省「貨物軽自動車運送事業者に対する令和6年法令改正に伴う安全対策」(2026年10月24日確認)
- 国土交通省「貨物軽自動車運送事業における軽乗用車の使用について」(2026年10月24日確認)
- 日本行政書士会連合会「行政書士会員検索」(2026年10月24日確認)
- 日本行政書士会連合会「こんなときにご相談を」(2026年10月24日確認)