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行政書士の報酬額表の掲示と、サイトの料金表の書き方

行政書士が事務所に掲示する報酬額表の決まりと、ホームページの料金表に書きたい5つの項目を解説します。建設業許可、在留資格、相続の文例も紹介します。

開業前後は、事務所に出す報酬額表と、ホームページに載せる料金表を同じものにしてよいのか迷いやすいところです。先に押さえたいのは、事務所での掲示には決まりがあり、サイトの料金表には相談する人が判断しやすくなる役割がある、という違いです。

サイトでは、報酬額だけを並べるより、何が含まれるか、別にかかる費用、金額が変わる理由、見積もりを出す時期を分けて書くと伝わります。建設業許可、在留資格、相続のように、手続きごとに役所へ納める費用や必要書類の数が異なる業務では、特に大切です。

この記事では、報酬額表の掲示の基本と、ホームページの料金表を整えるための文例をまとめます。

事務所の報酬額表は、まず掲示の決まりを満たす

行政書士法第10条の2第1項は、業務に関して受ける報酬額を、事務所の見やすい場所に掲示することを定めています。行政書士法施行規則第3条第1項では、その掲示を日本行政書士会連合会の定める様式に準じた表で行うとしています。[1][2]

行政書士職務基本規則第24条も、日行連の定める基本様式に準じた報酬額表を作成して掲示することを定め、インターネットなどでの公表は努力義務としています。[3] 事務所内の掲示と、ホームページの掲載は別に整えます。

まずは日行連の様式を確認し、事件名、報酬額、備考などを取扱業務に合わせて埋めます。日行連の「報酬額表の基本様式に関する規則」では、個人の行政書士は様式第1号を使い、「事件名」欄は「建設業許可申請(新規・法人・知事許可)」のように書き、「その他の事項」欄に消費税、着手金、立替金、旅費・交通費、日当などの扱いを必要に応じて書くとしています。[5] 単位会が様式を踏まえた用紙を配っていることもあるので、所属会にも確認しましょう。

職務基本規則第34条は、受任時に事情に照らした適正な報酬を明示し、十分に説明することを定めています。個別の依頼では内容と範囲を確認して見積もりを示す流れまで用意します。[3]

「報酬額の相場」「標準」は、定価ではなく参考資料として扱う

行政書士の報酬額は、各行政書士が自由に定めます。日行連は5年ごとに報酬額統計調査を実施・公表しており、現在は令和7年度の結果が公開されています。[4]

統計は料金を考える参考です。ただし、日行連も同じ業務でも取扱内容によって報酬額に大きな差が生じると案内しています。[4] 全国共通の定価や一律の「標準額」があるようには書きません。数値を紹介するなら、日行連の統計名と調査年を明記し、自事務所の料金と対応範囲は別に示します。

サイトの料金表は、5つに分けると問い合わせ前の不安が減る

LawProが2026年10月5日に行政書士事務所のサイト47件を内容分析したところ、報酬と別にかかる費用の両方を具体的に載せていたのは12件でした。各サイトのトップと主なページを最大5ページまで確認した調査であり、ほかのページに情報がある可能性はあります。それでも、費用を分けて伝える余地は大きいといえます。[9]

サイトの料金表には、次の5つを分けて置きます。掲示用の報酬額表をそのまま画像にするより、スマートフォンでも読める文章と表にするほうが、相談する人は総額の考え方をつかみやすくなります。

  1. 報酬:手続きごとの基本の報酬額、または報酬額の幅
  2. 報酬に含むもの:相談、書類作成、申請代行、進捗連絡など、含める作業の範囲
  3. 別にかかる費用:役所に納める手数料・登録免許税、証明書取得費、郵送費など
  4. 金額が変わる理由:申請の種類、事業規模、書類の収集量、急ぎの対応など
  5. 見積もりのタイミング:初回相談後、必要書類の確認後など、いつ確定額を案内するか

「別途実費」とだけ書くと、何を想定すればよいかが分かりません。すべてを網羅できなくても、よく発生する費用の種類と、依頼内容によって変わることを書けば、相談前の見通しになります。

建設業許可・在留資格・相続で、別費用をどう書くか

建設業許可では、行政書士報酬と、許可申請で納める登録免許税や許可手数料を分けます。新規の申請では、大臣許可なら登録免許税、知事許可なら許可手数料を納めます。更新や業種追加でも許可手数料がかかります。申請先と手続きに応じた費用を確認して案内してください。[6]

在留資格では、手続き、申請方法、許可される在留期間などで官公署への手数料が変わります。在留期間更新の手数料は2026年10月1日に改定されました。確認日と出入国在留管理庁の案内を示し、更新・変更と認定証明書交付申請は分けて掲載します。[7]

相続では、戸籍証明書などの取得費用と郵送費が生じることがあります。必要通数は相続関係によって変わるため、「戸籍取得費は必要通数により異なる」と書くと実態に合います。[8] 役所への費用を報酬に含めるのか、立替金として精算するのかも明確にします。

料金表の文例:報酬、含むもの、別費用を1行で分ける

次の表は、ホームページに載せるための書き方の例です。金額や対応範囲は、実際の事務所の方針に合わせて入れ替えてください。これはサイト用の文例であり、事務所に掲示する報酬額表は前の章の様式に準じて別に作成します。

手続き報酬報酬に含むもの別にかかる費用・見積もり
建設業許可(新規)〇〇円事前確認、申請書類の作成、申請手続き登録免許税または許可手数料、証明書取得費、郵送費は別途。申請先、業種数、書類の収集状況を確認後に見積もりを案内します。
在留資格の手続き〇〇円必要書類の案内、申請書類の作成、申請手続き官公署の手数料、証明書取得費、翻訳費が必要になる場合があります。手続きの種類と状況を伺った後、依頼前に見積もりを案内します。
相続関係の書類作成〇〇円聞き取り、必要書類の案内、書類の作成戸籍証明書などの取得費、郵送費は別途。相続人の数、戸籍の収集範囲、作成する書類を確認後に見積もりを案内します。

表の下には、次のような短い注記を加えます。

表示は基本の報酬額です。個別の状況によって追加の作業や費用が生じる場合は、依頼前に内容と金額を説明し、見積もりをお渡しします。

「〇〇円から」と幅を設けるときは、「書類の収集を依頼する場合」「急ぎの申請を希望する場合」のように、上がる条件も同じ場所に書きます。

公開前に、掲示用とサイト用を一緒に点検する

料金改定や取扱業務の見直しをしたときは、事務所の報酬額表、ホームページ、見積書のひな型を同じ日に確認します。

  • 事務所に、日行連の基本様式に準じた報酬額表を見やすく掲示している
  • サイトの手続き名と、事務所の報酬額表の事件名に大きな食い違いがない
  • 報酬に含む作業と、別にかかる費用を分けている
  • 建設業許可なら行政庁への費用、在留資格なら官公署の手数料、相続なら証明書取得費を確認している
  • 金額が変わる条件と、見積もりを出す時点が書かれている
  • 改定日と、参照する官公庁情報の確認日を控えている

最初からすべての業務を細かく掲載する必要はありません。問い合わせが多い1〜2業務から、5つの項目を埋める形で始めると、更新も続けやすくなります。

まとめ

報酬額表は、事務所の見やすい場所に、日行連の定める様式に準じて掲示します。ホームページの料金表は、その掲示を置き換えるものではなく、相談する人が依頼前に費用の考え方をつかむための案内です。

サイトでは、報酬、含むもの、別にかかる費用、金額が変わる理由、見積もりのタイミングを分けて書きます。まずは、いちばん問い合わせの多い手続きの料金表を1行だけ見直してみてください。

この記事について

  • 公開日:2026年10月25日
  • 確かめた日:2026年10月23日

出典

  1. e-Gov法令検索「行政書士法」第10条の2 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004 (2026年10月23日確認)
  2. e-Gov法令検索「行政書士法施行規則」第3条 https://laws.e-gov.go.jp/law/326M50000002005 (2026年10月23日確認)
  3. 日本行政書士会連合会「行政書士職務基本規則」第24条・第34条 https://www.gyosei.or.jp/sites/default/files/1784093101/%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%9B%B8%E5%A3%AB%E8%81%B7%E5%8B%99%E5%9F%BA%E6%9C%AC%E8%A6%8F%E5%89%87%EF%BC%8826.07.15%E7%90%86%E4%BA%8B%E4%BC%9A%EF%BC%89.pdf (2026年10月23日確認)
  4. 日本行政書士会連合会「報酬額の統計」令和7年度報酬額統計調査 https://www.gyosei.or.jp/about/disclosure/reward (2026年10月23日確認)
  5. 日本行政書士会連合会「行政書士法人の手引(改訂版)」所収「日本行政書士会連合会の定める報酬額表の基本様式に関する規則」 https://www.gyosei.or.jp/sites/default/files/1744078515/%EF%BC%9C%E6%94%B9%E8%A8%82%E7%89%88%EF%BC%9E%E8%A1%8C%E6%94%BF%E6%9B%B8%E5%A3%AB%E6%B3%95%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%EF%BC%88%E4%BB%A4%E5%92%8C%EF%BC%95%E5%B9%B4%EF%BC%91%EF%BC%92%E6%9C%88%EF%BC%89.pdf (2026年10月23日確認)
  6. 国土交通省「許可申請の手続き」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000086.html (2026年10月23日確認)
  7. 出入国在留管理庁「在留期間更新許可申請」 https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-3.html (2026年10月23日確認)
  8. 法務省「戸籍証明書等の広域交付」 https://www.moj.go.jp/content/001460478.pdf (2026年10月23日確認)
  9. LawPro「選ばれる士業事務所の情報発信 2026レポート」第3章「行政書士事務所のサイト47件の内容分析」・第4章「いくらかかるか」(2026年10月23日確認)

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