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行政書士の広告の決まり:サイトや記事で書けること・書けないこと

行政書士がホームページ、記事、SNSで発信するときの広告の決まりを解説します。事実にもとづく情報の書き方と、「必ず許可」「地域No.1」などの表現を言い換える例を紹介します。

行政書士としてホームページ、記事、SNSを始めるとき、「どこまで書いてよいのか」が気になって手が止まることがあります。

先に結論をいうと、相談する人に役立つ情報まで控える必要はありません。日行連の行政書士職務基本規則第17条が禁じるのは、不当な目的や品位を損なうおそれがある広告宣伝、事実に合わない内容、誤認または誤導のおそれがある内容、誇大な広告宣伝です。ホームページとSNSも対象に明記されています。[1]

在留資格、建設業許可、相続について、受ける相談の範囲、進め方、費用の考え方、事前に確認したい点を、事実にもとづいて分かりやすく書くことは、相談する人が依頼先を判断する助けになります。この記事では、行政書士の広告規制で確認したいことと、迷いやすい表現の直し方をまとめます。

まず確認したい、広告宣伝の4つの線

行政書士職務基本規則第17条は、広告宣伝について4つの禁止を定めています。条文には「ホームページ、SNS等によるものを含む」とあります。媒体がサイト、ブログ、投稿、プロフィール欄のどれであっても、同じ基準で確認します。[1]

条文で禁じる内容公開前に確かめること
不当な目的を意図し、または品位を損なうおそれのある広告宣伝相手の不安を必要以上にあおったり、行政書士としての信頼を損なったりする書き方になっていないか
事実に合致しない内容対応業務、資格、実績、料金、受付時間が現在の事実と一致するか
誤認または誤導のおそれのある内容条件、対象、含まれないものを省いて、広く受け取られる書き方になっていないか
誇大な広告宣伝根拠を示せない成果、速さ、件数、優位性を断定していないか

ここで大切なのは、抽象的な「強み」を増やすことより、事実を具体的にすることです。たとえば建設業許可を扱うなら、新規・更新・業種追加のどれを受けるのか、対応地域はどこか、相談から申請までに何を確認するのかを書きます。在留資格なら、申請取次の届出がある場合にその事実と扱う手続を示します。相続なら、遺言書作成支援や遺産分割協議書作成など、受任する範囲を分けて示します。

行政書士法は、第10条で行政書士の信用または品位を害するような行為を禁じ、第1条の2で品位を保ち、公正かつ誠実に業務を行うことを求めています。一方、同法に「広告」や「宣伝」を直接定める条文は、2026年10月23日に確認した現行法には見当たりませんでした。広告宣伝を直接定める基本の決まりは、この章で見た職務基本規則第17条です。[1][2]

書ける表現と、慎重に直したい表現

次の表は、個別の表示が適法かどうかを判断するものではありません。事実、根拠、条件がそろっているかを確認し、相談する人が受け取る意味を狭めないための書き方の例です。

表現そのままでは気をつけたい理由事実にもとづく書き方の例
「必ず許可が取れる」許可・不許可を断定し、個別の審査や条件を見えにくくする「要件と必要書類を確認し、建設業許可申請を支援します。許可の判断は行政庁が行います」
「地域No.1」比較範囲、指標、調査時点が分からなければ誤認につながる「○○市を中心に建設業許可の相談を受けています」
「最短即日」何が即日なのか、対象と条件が分からない「平日○時までのご連絡は、原則として当日中に初回返信します」
「成功率99%」分母・分子、対象期間、何を成功と数えるかが必要「2025年に受任し、結果を確認できた在留資格認定証明書交付申請は○件です」※件数と集計条件を確認できる場合
「お客様の声」実在性、掲載の了解、内容の正確さを確認する必要がある「掲載に同意をいただいた相談者の声」などと明記し、事実の範囲で掲載する
「他事務所との比較」比較条件がそろわないと、相手や読者への誤解につながる他事務所の優劣ではなく、「当事務所の対応範囲」「報酬に含む作業」「初回相談で確認すること」を示す
「無料相談」相談の範囲、時間、費用が発生する場面を明らかにしないと誤解を招く「初回30分のご相談は無料です。書類確認・申請着手後の費用は、事前にお見積もりします」

「最短即日」は、初回返信なら事務所自身で管理できる事実として書ける余地があります。しかし、在留資格の許可や建設業許可の処理期間まで即日であるように読める位置に置くと、誤認または誇大と受け取られるおそれがあります。何が、誰に、どの条件で即日なのかを一文で添えます。

「無料相談」も、職務基本規則第17条にその語が直接あるわけではありません。無料とする範囲、時間、対象、予約の要否、有料になる後続の手続を、申込みの前に分かるようにします。金品の提供など不当な行為による依頼の誘致については、同規則第15条にも定めがあります。[1]

「No.1」、比較、「成功率」は、根拠を残してから使う

「地域No.1」「成功率」「他事務所より早い」といった表現は、印象に残りやすい反面、説明すべき条件も増えます。消費者庁は、「No.1」の表示について、合理的な根拠に基づかず事実と異なる場合、優良または有利だと誤認される不当表示として問題になると説明しています。[4]

比較広告についても、消費者庁は、主張内容が客観的に実証されていること、数値や事実を正確かつ適正に引用すること、比較方法が公正であることを必要な点として示しています。[4]

そのため、「No.1」や比較の表示を使う前には、少なくとも次を手元にそろえます。

  • 比較する範囲:地域、業務、比較対象
  • 指標:件数、売上、満足度など何を比べるか
  • 調査時点と期間:いつからいつまでか
  • 調査方法と出所:誰が、どのように集計したか
  • 表示する文章と根拠資料の対応:数字が示せる範囲を超えていないか

これらをサイトにすべて長く載せる必要はありません。ただし、短い強調表示だけが独り歩きしないよう、根拠が分かる位置に示し、記録を残します。根拠を継続して確かめられないなら、比較ではなく、事務所が実際に提供している内容を書くほうが安全です。

お客様の声と実績は、「事実」と「掲載の了解」を分ける

お客様の声や解決事例は、相談前の不安を和らげる情報になり得ます。一方で、短い紹介文でも、本人や会社が特定される情報、相談内容、結果の見せ方には注意が必要です。

掲載前には、次の順番で確認します。

  1. 掲載してよいとの了解を、載せる内容と媒体を含めて確認する
  2. 氏名、会社名、写真、地域、手続の時期を組み合わせて特定されないか確認する
  3. 「許可になった」「早く終わった」といった結果を、一般的な結果の保証のように見せない
  4. 本人の言葉を編集する場合は、趣旨が変わっていないか確認する

たとえば相続の依頼者の声であれば、「手続の流れを説明してもらえた」のように、掲載を了解された感想を事実の範囲で載せる方法があります。一方、「この事務所なら必ず相続が円満に解決する」のように、将来の結果を約束する見出しに変えることは避けます。

実績件数も同じです。「累計○件」と書くなら、集計の開始日、対象業務、重複の数え方を事務所内で説明できるようにしておきます。退職した前職での経験や、補助者として関わった案件を事務所の実績に混ぜる場合は、特に受け手がどう理解するかを確認してください。

単位会の定めと、料金表示も公開前に見る

所属する行政書士会(単位会)の会則・規則も確認します。公開資料で確認できた一例として、北海道行政書士会会則第56条の5は、依頼を誘致する目的で「虚偽又は誇大な広告、宣伝」などをしてはならないと定めています。[3] 単位会ごとに公開資料、条文、運用の案内が同じとは限りません。自分の所属会の最新の会則・規則、会員向け案内を確認してください。

料金も広告の一部として見直します。行政書士法第10条の2は、報酬額を事務所の見やすい場所に掲示することを定めています。職務基本規則第24条第2項は、それに加えてインターネットを利用した方法などで公表するよう努めるとしています。[1][2]

サイトで「○円から」と書くなら、どの手続が対象か、報酬に含む作業、別にかかる実費や手数料、金額が変わる条件を近くに書きます。消費者庁も、インターネット上の表示では、取引条件を正確かつ明りょうに表示する必要があると案内しています。[5]

公開前は、文章を一度「相談者の質問」に戻す

発信を止めないためには、投稿ごとに難しい表現を探すより、公開前に同じ順番で点検します。次の6項目なら、サイト、記事、SNSに共通して使えます。

  • これは現在の事実か。更新日や数字の確認日を入れたか
  • 誰が対象で、何をする内容かが分かるか
  • 条件や例外を省いて、広く約束しているように見えないか
  • 実績、件数、比較、速さには根拠があるか
  • 他事務所や相談者を下げる書き方になっていないか(職務基本規則第20条は、他の行政書士などへの誹謗中傷を禁じています)
  • 相談後に費用が発生するなら、その条件が分かるか

この点検を通れば、書けることは多くあります。たとえば在留資格の更新で必要になりやすい確認事項、建設業許可で新規申請前に整理する資料、相続の相談で最初に聞くことは、相談する人にとって具体的な判断材料です。確定していない制度の説明や、個別の許可見込みを断定せず、根拠となる公的情報と確認日を添えて発信します。

まとめ:事実を具体的にすると、発信は相談する人の助けになる

行政書士の広告で避けたいのは、事実と違うこと、誤認・誤導のおそれがあること、誇大なこと、品位を損なうおそれがあることです。ホームページ、記事、SNSのどれも同じ基準で見ます。

まずは重点業務を1つ選び、対象者、対応範囲、流れ、費用、よくある疑問を、確認できる事実だけで書いてみてください。「必ず」「No.1」の代わりに、相談者が実際に知りたい情報を具体的にすることが、無理のない発信の第一歩になります。

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この記事について

公開日:2026年10月25日

確かめた日:2026年10月23日

出典:

  1. 日本行政書士会連合会「行政書士職務基本規則」第15条・第17条・第20条(PDF)(2026年10月23日確認)
  2. e-Gov法令検索「行政書士法」第1条の2・第10条・第10条の2(2026年10月23日確認)
  3. 北海道行政書士会「会則」第56条の5(PDF)(2026年10月23日確認)
  4. 消費者庁「表示に関するQ&A」Q25(比較広告)・Q27(No.1表示)(2026年10月23日確認)
  5. 消費者庁「インターネット上の広告表示」(2026年10月23日確認)